Fiduciary Deep-Focus

顧客本位の業務運営/フィデューシャリー・デューティー(fiduciary duty)に関する国内外の情報を中心に発信いたします。

「お客さま 顧みてこそ顧客なり 顧みずでは 聖帝サウザー」

日証協: 仕組債の販売勧誘に関する規則改正

2023年2月15日、日本証券業協会は、会員向け自主規制規則である「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則」等の一部改正案にについて公表するとともに、パブリックコメントの募集を開始しました。これは従前より顧客本位の業務運営の観点から販売勧誘について疑問の声が一定程度あった仕組債についての規律を強化することを目的とした改正です。

代表的な改正対象とその内容は以下の通りです。

  • 投資勧誘規則:注意喚起文言の交付省略規定の見直し

  • 勧誘開始基準ガイドライン」投資目的に加えて、投資経験、顧客の理解力、リスク許容度等を総合的に勘案して基準を設定すべきことの明示

  • 重要事項説明ガイドライン:ノックイン条件や早期償還条件等の重要事項を顧客に説明すべきこと、仕組債の購入が顧客に適している旨とその理由を説明すべきこと、

  • 合理的根拠適合性ガイドライン:トップマネジメントによる合理的根拠適合性の検証への関与要請等を明示 等

    改正内容は多岐にわたりますが、昨今の社会情勢等を踏まえ、法改正という形ではないものの、自主規制規則の改正という形での事実上の規制強化がなされたものです。販売自体を禁止すべきであるとの意見もみられるところですが、当局としては最終的には取引当事者の判断にゆだねることとしつつ、そのハードルを上げることで複雑な仕組債が不適切に販売されることを防止することを意図している模様です。

Go Fujii