Fiduciary Deep-Focus

顧客本位の業務運営/フィデューシャリー・デューティー(fiduciary duty)に関する国内外の情報を中心に発信いたします。

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Frankel Fiduciary Prize 2020

Frankel Fiduciary Prize 2020の公表

Institute of Fiduciary Standardは、2020年9月29日、本年度のFrankel Fiduciary Prize受賞者を公表しました。

Institute of Fiduciary Standardとは?

Institute of Fiduciary Standard (IFS)は、投資アドバイスに関するフィデューシャリー・デューティーのあり方についての研究・啓発を主な目的とする民間団体です。Frankel Prizeとは、Fiduciary Law (フィーデューシャリー法)に関する著名な研究者であるボストン大学のフランケル教授(Prof. Tamar Frankel)にちなんで設けた賞で、その時々において最もフィデューシャリー・デューティーを実践した事業者に対して授与されるものです。フランケル教授はIFSのBoard of Advisorsの一人でもあります。

IFSとフランケル教授との思い出

金融庁総務企画局市場課(当時)で勤務を開始して間もない、2017年9月、市場ワーキング・グループでフィデューシャリー・デューティーや顧客本位の業務運営の在り方について議論が行われていた頃、米国におけるフィデューシャリー・デューティーに関する調査を行うため、米国(ワシントンDCとボストン)に出張する機会がございました。

その際、フランケル教授からはフィデューシャリー・デューティーに関する情報のご提供をいただいたり、ワシントンDC界隈で著名な研究者などのご紹介を頂いたりと多大なご助力を賜りました。その際にご紹介いただいた団体のひとつがIFSで、フランケル教授のご推薦もあって、代表のMr. Rostad氏とアポイントを設定することができました。SEC/DOL/FINRA等に加えて、IFSのような民間の研究機関からも米国内の取組状況や問題意識についてご教示いただけたのは大変な収穫でした。庁内向けの報告書でもとりわけIFSパートについて厚く(熱く)記載したことを鮮明に覚えています。

IFSの活動が示唆するもの

IFSは、フィデューシャリー・デューティーの普及について精力的に啓発活動を行うとともに、SEC/DOLによる投資アドバイス規制に関する意見募集においては積極的に提言を行っています。

日本においても顧客目線で(あるいは顧客にかわって)金融事業者の取組みを中立的に評価する第三者評価機関の台頭が期待されており、当局もその重要性について言及しておりますが、顧客本位の業務運営に関する原則の公表以降現在に至るまで引き続きの課題となっている状況です。このような海外での動きが将来の日本におけるサービス向上の一助になるかと思い、今回IFSの活躍についてご紹介いたしました。

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