暗号資産制度の金商法への移管
改正法案の国会提出
2026年4月1日、金融庁より金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案が国会に提出されました。全体像についてはすでに広く周知されているところですが、本Fiduciary Deep-Focusの視点から最も重要な点は、暗号資産交換業が金商法下で金商業の一類型である「暗号資産取引業」として再定義されることにあります。これにより、暗号資産取引業者は金商法下で規律されることとなります。
顧客本位の業務運営との関係
現行の資金決済法下における暗号資産交換業者は、すでに「金融サービス提供法下の金融サービスの提供等に係る業務を行う者」として、最善利益勘案義務(顧客の最善の利益を勘案しつつ、顧客に対して誠実かつ公正に業務を遂行する義務)を負っているところですが、現時点で暗号資産交換業者が単独で取組方針を公表している例はありません(金融事業者リストより)。
今後、改正法により金商業者となることでこれまで以上に顧客本位の業務運営に関する原則の採択と取組方針の公表等への対応が期待されることになるものと推測します。現時点では当局から暗号資産交換業者に対して明示的に顧客本位の業務運営に関する原則の採択を推奨するような動きは見受けられないという理解ですが、今後は対話を通じてこれらの対応への働きかけが行われるものと思われます。
金融審議会「暗号資産制度に関するWG」では暗号資産交換業者に対する広告のあり方についての課題が指摘されるなど、重要な情報の分かりやすい提供の観点を踏まえた対応準備が必要なほか、より精度の高い顧客情報の管理・適合性の原則の徹底も求められることとなりますので、暗号資産交換業者においては、既存の銀行・証券・保険会社の取組方針を参考に、改正金商法の施行に向けて準備を行うことが望まれます。